マイベストソング② <恋人>Ⅱ退屈な日々

愛子は高校1年生。美術部である。2階にある美術室の窓からは運動部の大きなグラウンドが見える。その横の一部をテニス部が使用し、陸上部はグラウンドの周りをトラックとして使用していた。そしてそのトラック中央はラグビー部が使用し、各部の部員達がグラウンドいっぱいに大きな声を響かせていた。

愛子は部室のみんなと静物を描いていた。静物とは動かない物、壷とか果物とかコップなどを描く事である。まだ入部間もない愛子たちは主に静物を基本練習とし、毎日の時間に割っていた。小さい頃から絵を描くのが好きだった愛子は特に苦にはならなかったが、毎日毎日こればかりではいささか退屈気味になり、あくびのひとつもでそうだった。グラウンドでは相変わらず運動部の選手達の声やボールを打つ音がし、なかでもラグビー部員の声が響き渡り学校全体にこだましていた。やや時間をもてあまし気味の愛子はふとグラウンドに目をやった。

そこではチームが二つに分かれ、紅白ゲームをやっていた。白と赤のツートンカラーのチームと白地に紺の横縞が入ったラガーシャツを着たチームに分かれ対戦していた。互いの体をぶつけあい汗と泥にまみれながらやるその姿に愛子は「よくこんな激しいスポーツができるもんだわ。疲れないのかな」と心で思い、特に意識して見ていたわけではなかったが、暇つぶしにでもと思い部員達の動きをぼんやりと目で追っているだけであった。

つづく

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